B2B向けのイベントやカンファレンスは、従来は対面型のリアル開催が主流でした。
しかしコロナ禍のもと、リアル開催の自粛が求められたことで、イベント・カンファレンスはオンライン開催にシフトしました。
アフターコロナといわれる昨今、リアル開催とオンライン開催の双方のメリットを取り入れた「ハイブリッド型のイベント・カンファレンス」が、先見の明がある企業からの注目を集めています。
しかし、どのような場合にハイブリッドイベント・カンファレンスが適しているのか、どのような準備が必要なのか分からないという声が聞かれることもあります。
今回は、B2B企業で普及しつつある「ハイブリッドイベント・カンファレンス」をテーマとして取り上げます。
1. ハイブリッドイベント・カンファレンスとは
ハイブリッドイベントは、リアルとオンラインの両方で参加できるように開催するイベントです。
ハイブリッドとは「混合」を意味する単語なので、言葉通り二つの手法のメリットを組み合わせるイベント設計が可能になります。
イベント・カンファレンスの開催は、販促でリアルイベントを活用していた企業にとっては、コロナ禍で大きなダメージを受けました。
しかしそこに新たな手段として、オンラインイベント・カンファレンスが登場しました。
当初はリアルイベントの代替の位置づけとしてオンラインイベントを始めた企業も、そのメリットに触れて、アフターコロナでもオンラインイベントを継続する傾向にあります。
そこで、リアルとオンラインの持つメリットを組み合わせ、より効果が高めようとハイブリッドイベント・カンファレンスを開催する企業が増えているのです。
1-1.ハイブリッドイベント・カンファレンスのメリット
リアルとオンラインの開催形式を利用することで得られる、代表的なメリットを3点お伝えします。
参加者ニーズに応じた柔軟な開催スタイル
ハイブリッドイベントでは、イベントの会場や時間に合わせて、参加者が柔軟に参加方法を選択できます。
たとえば、「急な予定変更があった場合はオンライン参加」、「講演者と直接会話したい場合はリアルで参加」などの選択も可能です。
主催側としては、参加者が自身のニーズに合わせて形式を選んでくれることで、参加モチベーションがセットされた状態で、イベント開催できることがメリットでしょう。
※ただし、主催側で戦略的にリアル・オンラインの参加者を固定する開催ケースもあります
意見やアンケートの深い分析が可能
従来のリアルイベントの開催では、イベント終了後に紙でアンケート回収を行うなど、まだまだアナログな方法が主流でした。
しかし、参加者としてはわざわざ紙とペンで記入をしなければならず、主催者側も手入力でのデータ化という、双方にとっての負担がありました。
ハイブリッドイベントであれば、利用しているイベントプラットフォームのコメント機能やアンケート機能を通じて、フィードバックの回収・管理が容易です。
機能によっては、リアルタイムで講演者に参加者の声を届けることもできるため、イベントの新たな価値創出にもつながります。
また、リアルイベントとオンラインイベント参加者のアンケート傾向を分析することで、より立体的な参加者反応の考察もできます。
マーケティングリードの質・量の双方が担保できる
見込み顧客を質・量の観点で、バランス良くリードリストが設計できるのもハイブリッドイベントならではのメリットです。
オンラインイベントでの接点は、今後リードナーチャリングをしていく前提で、量を重視したリストが獲得できます。
一方、リアルイベントで接点を持った顧客は、商談化しやすいホットリストとして活用が可能です。
昨今のマーケティングでは、リードリストの枯渇を防ぐことと、リードリストからの商談化の確度を挙げる双方の視点が求められます。
その点で、ハイブリッドイベント・カンファレンスなら、双方の視点を担保しなたバランスが良いリードリストを拡充することができるでしょう。
1-2.ハイブリッドイベント・カンファレンスのデメリット
ハイブリッドイベント・カンファレンスを実施するにあたってのデメリットをお伝えします。
ただし全てがデメリットとなるわけではなく、あらかじめ認識・注意をしておけば、回避できることも多いでしょう。
実施コストがかかる
オンラインとリアルのイベントを開催するため、両方の開催についてのコストがかかる点はデメリットといえるでしょう。
オンラインイベントは比較的コストは抑えられますが、事前準備や運営のための人件費や設備費が、ある程度は必要となります。
ただコスト観点で無視できないのが、リアル開催の場合の会場費や施工などの費用でしょう。
コストを抑えるためには、ハイブリッドイベントの特徴を最大限活用することがポイントです。
例えばオンラインイベントで広く参加者を募り、オフラインイベントの案内をするのは、その中の有望顧客のみにして会場スペースを極力小さくする、などの工夫が挙げられます。
体験設計の手間がかかる
ハイブリッドイベントでは、リアル・オンライン両方の参加者の体験を考慮する必要があります。
どんな状態の顧客にどのようなコミュニケーションを取るかという体験設計に知恵を絞る必要があります。
顧客の心理変容を想定しながら、どのような体験をしてもらうかのシナリオ設計は、現代のマーケティングならではの手間といえるでしょう。
また、得てして顧客は想定外の動きをすることが予想されます。
そのため、シナリオ通りに進めるだけでなく、常に顧客反応を見ながらシナリオをチューニングする難しさも発生します。
オペレーションの煩雑化
ハイブリッドイベント・カンファレンスは、オペレーションがある程度複雑になることは、あらかじめ認識しておく必要があります。
具体的には、リアル会場の設営や案内、オンラインでの映像配信などが発生します。複数のシステムを使う場合などは、作業も煩雑になってしまいがちです。
例えば、リアルイベントでは決められた場所・時間で行う必要があるため、登壇者のスケジュール調整が必要となります。その他、リアルイベントとオンラインイベントで参加対象者を絞る場合は、リストの精査や異なる案内文面の作成も必要となるでしょう。
ハイブリッドイベント・カンファレンスは、ある意味戦略的に活用するものなので、事前準備もそれなりの人員や工数を確保する必要があると認識してください。